そして、一歩を踏み出さなきゃ



私は雷が苦手だ。
小学6年生の時、突然の雷雨の中、傘を持って駅までお母さんを迎えにいった。

母子家庭ということもあってか、私は甘えん坊だった。
雨が降ると、傘を届けに駅まで迎えに行ける。階段を降りてくるお母さんが私に気付いて笑いながら手を振るのが嬉しかった。
雨は、私にそんな特別をくれる存在だった。

だが、雷雨となると一変し、恐怖の対象となる。
その時、人生で浴びたことのない、強い光を全身に受けた。
1m先でさえ、光で真っ白になり見えなくなった。

時が止まった。
意識はあるのに、自分も他の生命も消えたと思った。
その光の鎖で体が動かない。

瞬間、地球が割れたのかと思うほどの轟音が鳴り響き、拘束が外れた私は反動で転んだ。

雷は、8m先の工事現場に落ちた。

それ以来、私は雷が鳴ると身がすくんでしまう。
途端に脈は早くなり、手足が冷たくなる。

──今、真っ黒な空に向かって私の乗るバスが走っている。
車内にいても聞こえる雷の音。
ああ、なんということだろう。
 
 




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役者スキルを使って男女の恋愛意識の違いを文章で表現。楽しい世の中になるように、文字で男性のカッコよさを伝えることを使命とするインディーズ小説家。男性からも褒められる男脳をもつママブロガーでもある。バナナガールの姿では下ネタしか話さないので注意。