年下の彼

イメージカラー

「先輩、バレンタインで俺が言ったこと覚えてる?」 この一言で、先輩の顔はみるみる内に赤くなった。 反応から覚えていることが予想できるが、どうしても彼女の口から言わせたくなる。 先輩は俺から視線を外し、躊躇いがちに口を開く…

強引(Ucon’s side)

ドクン、と一つ大きく心臓が跳ねた。 右手首に加わった強い力。 そして、あと数センチで触れてしまうほど縮まった互いの唇の距離。 射抜くような彼の視線にとらわれた私は、瞬きするのも忘れて彼の言葉を聞いた。 「先輩、俺の性別わ…

桜切符

夕闇に彩られた公園内の広場では、あちらこちらで宴会が始まっていた。 それを避けるようにして、ドーム状に広がる桜並木の道を海白彩(うみしら あや)と神谷聖(かみや ひじり)の両名が歩いている。 彩は雪のように舞い散る花弁を…

不意打ち

8月。 夏休みという学生の特権を満喫──とまではいかないが、まあまあ楽しんでいる諫美(いさみ)は、何か飲み物をとってこようとキッチンへ向かった。 クーラーがきいている部屋にいても、窓の外から大音量のセミの声が聞こえてくれ…