キスシーンあり

コーラルリング

『珊瑚の指輪を左小指にしていると運命の相手と出会えます』 ――私もこの指輪で最高の恋人と巡り会えました―― ――今度、結婚します。全てはこの指輪のお陰です――    雑誌の広告にあるこんな言葉を読むと、自分の左…

純白の想い

「お邪魔します」  海白彩は今日も実春の家へ遊びに来ていた。 「あら彩ちゃん、いらっしゃい」  玄関先で彼の母親に会う。どうやら急いで出掛けるようで、いつもするちょっとした世間話は今日はお預けらしい。 「じゃあ実春、後は…

大切なこと

 ノートに鉛筆を走らせていた玖堂有羽は一区切り付いた所で息をひとつ吐き、うんっと伸びをした。そのままの姿勢で時計を見上げると下校時刻はとうに過ぎている。  驚いて窓の外を見ると辺りは薄闇に包まれていた。 「(根(こん)を…

ねがいごと

「いつも私ばかりが会いたがってるから、諫美くんはどうなのかなって」  桜が舞う風景の中でぽつりと有羽が呟く。  満開を少し過ぎてしまったが桜の花見をしようと近所の公園に二人で来ていた。  青空に桜と散り行く花びらが映えて…

いつも。いつまでも。

 穏やかな昼下がり。  野田実春はソファに座ってまどろんでいた。  と、スリッパの音がして声が聞こえてくる。 「遅くなってごめんなさい…。あら、実春くん。寝ているの?」  何となく起きて返事をするのもかったるかった彼は、…

はちみつの時間―甘い言葉を囁かれて―

 学校も休みである日曜日、有羽は晟の部屋へと遊びに来ていた。と言っても、お互いにやらなければいけない課題を黙々と進めていたのだが。  自分の分は終わったと背伸びをする有羽は、ノートを見て難しい顔をしている晟に後ろから抱き…

はちみつの時間―寝起きの本音―

「ねえ、遼(りょう)。ひざまくらしてあげる。こっちきて」  自室のベッドの上に座り、有羽(ゆば)はそう言って手招きをした。  年頃の男子としてはおいしいのか困ってしまうのか微妙なシチュエーションだが、せっかくの有羽の誘い…

3月14日

三月も半ばとは云え、まだ春には遠い気温が続く。 「(昨日は暖かかったんだがな)」 伊藤智孝(いとう ともたか)は公園のベンチに座りながら空を見上げる。重く垂れ込めた雲は今にも降りだしそうな雰囲気を醸(かも)し出していた。…

イメージカラー

「先輩、バレンタインで俺が言ったこと覚えてる?」 この一言で、先輩の顔はみるみる内に赤くなった。 反応から覚えていることが予想できるが、どうしても彼女の口から言わせたくなる。 先輩は俺から視線を外し、躊躇いがちに口を開く…