はちみつの時間―スローペース―
最悪だ。いつものバカみたいな元気が、どうしてこういう時に限ってなくなってしまうんだろう。 玖堂くどう有羽はぼーっとする頭でそんなことを思った。 今日は共通の知り合いたちと来たスキー旅行の初日である。恋人である智孝に…
さあ、革命の時だ―Blog side―|小説、ビジネス、webデザイン
最悪だ。いつものバカみたいな元気が、どうしてこういう時に限ってなくなってしまうんだろう。 玖堂くどう有羽はぼーっとする頭でそんなことを思った。 今日は共通の知り合いたちと来たスキー旅行の初日である。恋人である智孝に…
前から思っていたけど、樫倉(かしくら)先輩はとてもオープンな人だ。いつも僕や玖堂(くどう)先輩をからかっては楽しんだりする意地悪な面もあったり、食堂のおばちゃんや上級生のお姉さん方にも可愛がられるナンパ師でもある。 でも…
「おはよ」 朝、家の前で彼は言った。私も笑顔を浮かべて挨拶を交わす。 彼の隣に立つと、自然と手を差し伸べてくれ、私はそれに応えるようにして手をつないだ。 こうして一緒に登校できるのも、今日が最後だ。 そう思うと、胸に鉛が…
「玖堂(くどう)って初めてのタイプだったから、ちょっと興味があっただけだよ」 彩(あや)先輩の発言を聞いて、昨日聖(ひじり)がどこかすっきりしたような顔で言っていたのを思い出した。 放課後の東校舎の裏。そこは掃除をし…
文化祭も終わり、紅葉がちらほら見え始めた11月。私はお気に入りとなっている中庭に足を運んだ。休み時間や放課後にここを利用する生徒の数は、先週と比べてぐんと減っていた。すっかり肌寒くなったからなぁ……大きく息を吸った私の…
あの人との距離が縮まるきっかけは、いつも雨だった。 初めての会話、初めての一緒の下校、そしてお互い名前で呼び合うようになった時も雨が降っていた。 小雨というよりは強い降り方の雨に、私は昇降口で空を見上げて息を一つ吐…
最初はただの“親友とよく話す女の子”だった。 いつからだろう。君が、胸に引っかかるようになったのは─── ささくれ 「うーん、これどう考えても時間がないなぁ。どうしよう……晟(せい)にお願い…
いつの間にか恒例となっていたお隣さん同士での花見。初めの頃はお弁当を作ってと、本格的なものであったが、次第に互いの都合がつかなくなり、夜の散歩がてらにという気軽なものへと変わっていった。そして、それに参加するメンバーに…
2月14日。 この日は朝から皆そわそわしてて、好きな子の行動をお互いに気にしてる。綿飴みたいに甘くてふわふわとした空気に包まれている感じが何だかいい。 それに、女の子がすっごくかわいく見えるんだよね。好きな人のために一生…
「はい。どうぞ」 にこりと笑いながら有羽は言った。手にしているカップからは、ゆらゆらとホットチョコレートの湯気がたっている。 晟はお礼を述べてひと口飲む。 ほどよい甘さと、寒空の下にはありがたい温かさに自然と顔がほ…